GTMの体系化 – その6 チームメンバーを採用する

写真はケルン郊外にて山登りをした時の写真。曇天で空は綺麗ではないけれど、同僚らと山道を歩くのは気持ち良かった記憶がある。(にしても、ドイツの人はハイキングが好きな印象、週末にサクッと行くくらいに)

・あくまでも今は雑記なため、頭で描いたものをザザザっと記載
・自分の経験はフリーミアムなPLGからSLGへの成長が主な経験のため、Pure B2Bとは差異がある可能性あり
・日本のSaaS GTMに初めて触れる人達向けを想定(特に外資系での日本参入)
・(無いとは思いますが…)無断での転載、複製、改変等は禁止です

・採用予算の準備

はじめに描いたPlanに対して(何の目的で)どれくらいの予算でいつまでに誰を採用するかを明確にしていく。ビジネスの状況によるが、売上がこれからの場合は、まず売上をつくるための機能のファンネルの上から=Mktg・SDR・Salesから採用していくのがスタンダードである。

目的: 基本的にはGTMのプランで明確になっているはず。
予算: 既にGTMのプランをベースに本社で用意されていれば良いが、これから予算獲りが必要な際はJustificationを本社に提出して承認をもらう必要がある。幾つかのポイントがある。

1)どれくらいの経験・成功がある人を採用するか
結論、最初のメンバーは即戦力でまとめていくのが王道である。何故なら、垂直立ち上げしていくにあたり、共通の言語・経験で物事を早く進めていく必要(=一人一人のケアをしている場合ではない)だからとなる。本社の場合は、組織・機能が成立しているが故に、経験・成功がなくともCoachableな人を採用する事がまだできる余裕があるかもしれないが、いざ日本のGTMを真っ新な所からいざ行うとなるとそうはいかないのである。

2)それに合わせて給与レンジを設定していくが、マーケットの標準レンジには合わせたい。今の2024年時点だと、ENT Salesで18-22M、MM Salesで13-17Mくらいが標準ではないだろうか。初期フェーズのメンバーはミッションに共感して入社してくる事が多いが故に、多少レンジを下げてでも入社してくるかもしれない一方で、このフェーズから標準に合わせておかないと、同じポジションでも初期フェーズのメンバーとその後入ってくるメンバーとのレンジ差が生じる可能性とそれに伴う人事的調製が2-3 年後に出てくる可能性もある。本社も極東の給与レンジについてはまだ情報を持ち合わせていない事が多いので、日本からどんどん提案していく。

3)Job Description, Requirement
それぞれのポジションにおける役割を明確にしていく。上記の通り、ある程度の経験と成功をしている人を採用するとなると、それに合わせて求めるものも高めに設定して記載していく。

尚、英語のレベルは初期のフェーズは本社と普段から密にやり取りをするが故に必須となる一方、英語話者3%の国であるが故に、ベストな人を採用するのには大きく時間を要する可能性がある。(レポートラインを日本法人代表に集中させると役割分担にて少しレベルを下げられる可能性も少しあるが、基本は日本語以上に英語で仕事を行うの基本となる)他の予算やスケジュールと合わせて、期待値調整とチャレンジを本社と目線合わせするのが大事になってくる。

・採用スケジュールの準備

前述の通り、年度の売り上げ目標から逆算しどれくらいのQuota capacityを各四半期で確保できるか(新しいSalesの入社〜フルの目標設定までも考慮して)、そこから更にNotice period(基本は1ヶ月が多い、また重要顧客や社内の引き継ぎ等がある場合は更に2-3ヶ月)を考慮して、更に採用するまでにかかる時間を想定して採用開始スケジュールを設定していく。尚、先にQuota capacityが決まっている中で前倒しでどんどん採用ができると、その分だけ前倒しでQuota capacityを確保できる事となるので、採用は必要なポジションはとにかく早く動いて早く採用していく。

・採用プロセスの定義づけ

採用プロセスと定義づけのために共通のScore cardを作成し、Job scope + requirement, それに応じた採用理想像の Nice to have(どこまで要件に対して満たしていると理想か)、Must to have(どこのラインが要件に対して絶対条件か)を設定、理想の候補例、採用のプロセスと参加者、各プロセスでの共通評価ポイント、評価の仕方、、、等々である。人事が採用のインフラを既に整えていれば問題ないが、無い場合は自身で準備して関係者としっかりと目線を合わせてGOするのが良い。そうでないと、目線合わずのままお互い違うポイントや期待値に対して評価をしてしまい、候補者を正しく評価できない事となってしまう。

・チャンネルづくり

準備が整ったら、いざポジションを採用ページにてオープンする事となる。オープンにした際の幾つかのリソースを活用しながら進めていく。

1)オーガニック
採用ページにて直接流入するケースである。直接流入するケースは、転職を検討しており且つ既に自社に興味があり且つ自ら動いていく候補者となりホットなケースである。特に初期の頃は(常にそうでありたいが)、ミッション共感が強く、同じ熱量をもって仕事がしやすいケースを私も見てきている。

2)リファラル
自らの友人・知人を採用したり、同僚の友人・知人を採用するようなケースである。初期のフェーズの仲間集めはどこの企業も一番優先していると思う。何故なら過去も含めてミッション共感・共鳴し合いやすく、お互いのツボが分かり合っており、パフォーマンスに一定の担保ができるからである(=また一緒に働きたい)
*どこかで見た「一流は一流を連れてくる」、を言及する。

3)ダイレクトリクルーティング
初期のフェーズにおいてはリソースが限られる且つまだ日本にリクルーター(採用担当)がいない時期ながら、本社のリクルーターリソースを活用していく。日本のマーケット・採用を理解しているメンバーをアサインできると理想だが、いずれにしてもScore cardをベースに一緒に読み合わせしながら、何の目的でいつまでにどんな人を採用するためにどんなプロセスを踏んで何をどこまでをお願いしたいかを明確にしていく。

4)採用イベント
1)-3)のコンビとなるが、限られたリソースでできる限りポテンシャルの候補者を集めるために、自前で採用イベントを開催するケースである。オンライン・オフラインで実施できるが、候補者の熱量などオンラインでは理解が難しいコンテキストを掴むためにオフラインで行った方が、その後の採用プロセスを含めて効率よく出会う事ができるかもしれない。尚、競合がリサーチのために混じってくる可能性もあるので、注意しながら実施したい。

5)エージェント
1)-3)まででベストな候補者と出会えない場合(=候補者のパイプラインが潤沢でない場合)、外部のエージェントを活用してまずはパイプラインを増やす所からとなる。即パイプラインを増やしていくとなるとSaaS Scale-upに場合、1)SaaSのバックグランドの候補者プールを保有している、2)エージェントオーナー及びエージェントリクルーター自体がSaaSにある程度の知見がある、3)英語でのコミュニケーションができる、の3つが最低条件となる。あいにく3つ全て揃うエージェントは日本において限られてくるため、ここまでで選択肢はだいたい決まってくる。SoftSource社等は有名なSaaS Scale-up特化の代表的なエージェントとなる。

・採用での評価プロセス
採用するメンバーを厳選するために、スキルの評価ではなく、ベースとなるマインドセットの評価にて一例を紹介したい。マインドセットを評価する際に、1)自己紹介、2)ストレングスファインダーの結果Top5、3)ライフジャーニーマップ(X軸: 時間、Y軸: 幸せだったか・不幸せだったか)、この3枚のスライドで自身を語ってもらうとだいたい人となりが見えてくる。1)と2)はそのまま、3)についてはそもそも自分を見つめらるか(正直さ、誠実さ)、承認欲求のツボはどこか(仲間をとのコラボレーション・利他の精神)、自身の原点(過去)と自社との繋がり(現在と未来)はどこかとその一貫性、あたりが見えてくるため、そもそもそういったポイントが評価ポイントではない組織においては役に立たないが、まずは自社とのフィットを評価するのに役立つ。
*ライフジャーニーの例の絵を加える

・日本での採用における注意点

この内容は日本にエントリーしたい組織の方々も読まれる事を想定しているため、釈迦に説法かもしれないが、記載していきたい。

1)英語は話せるを評価の主ポイントとしない
人口の3%故に英語話者が貴重な人材にはなるが、その点だけで評価をしていくと落とし穴が出てくる。あくまで前述の評価プロセスに則りながら、公正な判断をしていく。

2)リファレンスをしっかりとる
オーガニックで入ってきた候補等、プロセスでは高評価でも、最後しっかりとリファレンスをとった方が良い。目的は本当にベストな候補か確認する(誰にリファレンスしてもらうかで分かってくる)、ツボを理解して入社後のピープルマネージメントに活かす、である。オファーを急ぎたい所であるが、最後まで気を抜かずに評価を進めていきたいところ。

3)直接会う
ついついリモートで面接を繰り返しがちだが、直接会った時の情報量はリモートに比べて圧倒的である。服装・みだしなみ、人とのコミュニケーションの仕方、気の使い方、、、更に食事に行くと、お店のスタッフさん等とのコミュニケーションの仕方、食事の仕方、、、顧客とのやりとりが容易に想像つく事ができるので、食事まで行けると尚良い。

(約3,800字)

げーしー
  • 2013年から始まった人生ログ。
    自分の振り返りを目的として色々とメモしています。

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